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湯治場の名残を残す名湯、藤島旅館 -宮城県鳴子温泉郷川渡温泉-

温泉
2019年秋 湯治場の風情を残す藤島旅館の正面玄関

 私の最も好きな温泉場の一つに、鳴子温泉郷があります。

 鳴子温泉郷は泉質が多彩であることが特徴で、日本に存在する11の泉質のうち9種類までもがここ、鳴子温泉で楽しむことができます。これがどういうことかといえば、例えば「岐阜の平湯温泉といえば硫黄泉」、といったように、各温泉を特徴づける唯一の泉質がないということになります。つまり、鳴子温泉郷のあの旅館は硫黄泉だけど別の旅館はアルカリ泉だとか、贅沢なところでは一つの旅館で3つも4つもの異なる源泉が楽しめる場合さえあるのです。

 また、温泉「郷」とありますが、鳴子温泉郷は鳴子温泉、東鳴子温泉、川渡温泉、中山温泉、鬼首温泉の計5つの温泉からなる、総面積としては非常に大きな温泉地です。

 今日紹介するのは、鳴子温泉郷の東の入り口にあたる、川渡温泉にある老舗 藤島旅館です。

 川渡温泉といえば、私はこの藤島旅館と川渡公衆浴場の2つの湯しか知りませんが、いずれも緑色で、黒い湯の花の浮くうっすら石油臭のする湯です。私はこの湯に入るまでにかなり数の温泉を訪れてきましたが、「緑色」「黒い湯の花」「石油臭」のいずれもが初耳、初体験で、鳴子温泉郷の奥の深さをよく実感しました。

 藤島旅館の、2019年時の外観を以下に示します。

 風格のある佇まいですね。

 館内は、このようになっています。

湯治客向けの売店です
旅館部と自炊部が併設されていますが、この奥が自炊部のエリアとなります。
「脚気川渡」と呼ばれたほどの効能を誇る真癒の湯。女湯の右手が男湯です。廊下右側は自炊者向けの洗面所、コインランドリーが

 湯治場の雰囲気を、色濃く今に遺しています。。

 湯殿の写真は、残念ながらありません。いつも入浴客でにぎわっていましたので。

 代わりに、効能を。
 温泉好きを自認する割には泉質や効能には無頓着で、これを見てほほぅと唸ることはなく、ふーんの程度で素通りです。泉温は47℃を超えており、加温、加水なしの源泉かけ流しだそうです。

 伝聞ですが、コロナによる宿泊客の激減により藤島旅館は一時休館し、よりよい宿を目指し改装されたと聞いています。

 どのような変化を遂げたのでしょうか。過日の姿を残しながら、次の歴史を刻んでいただきたいと切に願います。

 再訪できる日を、楽しみにしましょう。

 

 

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

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