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世界でも珍しい刃物総合博物館 フェザーミュージアムを訪れる -岐阜県関市-

博物館・美術館

 岐阜県関市は、刃物で有名な街です。

 関孫六といえば、日本人の多くが一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。これは、室町後期にこの地で活躍した孫六兼元にちなみ、関市を拠点とする刃物メーカー貝印が登録した商標です。(私は子供のころから「せきそんろく」と思っていましたが、正しくは「せきまごろく」です)

 この街に、ちょっと変わった博物館があります。

 フェザー安全剃刀株式会社が運営するフェザーミュージアムです。ホームページによれば世界初の刃物総合博物館で、髭を剃るカミソリを中心とした刃物を広く展示した博物館です。

 10年ほど前に訪れた時は古今東西のカミソリ関連グッズを所狭しとズラリと並べただけの、なかなか味のある博物館でしたが、2016年に改装されかなり洗練されてしまいました。それでも、雑多な頃の味を少し留めています。

 訪れた時期が時期だけに、受付で住所を記載 (コロナ追跡用)する際に「大阪でスミマセン」と小声で言うと、「いや~、うちの本社は大阪なんですよ~」と、ニコニコと返してくれました(笑)。私は、すっかり岐阜の会社かと思っていました。

 こちらは2階建てのミュージアムで、1Fでは同社の歴史や製品概要を、2Fではカミソリを中心とした古今東西の刃物を展示しています。

 こちらが、1Fの同社の歴史を年表で示したものです。当時の製品と共に同社の歴史と当時の世相を追っており、とても興味深い展示です。

 同社は主力のコンシューマー向け安全カミソリ群に加え、医療用替刃メス (外科用メスでは国内シェアNo. 1)、ミクロトームの刃などにも力を入れているようです。

 そういえば会社に入ったばかりの頃、熱硬化性フィルムの硬化度 (架橋度)の厚さ方向に対する分布を測定しようと、30μm程の厚さのフィルムをどうにか厚さ方向に均等に10等分できないか苦労しましたが、うまくいきませんでした。この時は西洋カンナのような小型カンナで薄くスライスしようとしましたが、粉になるばかりで断念してしまいました。この頃、ミクロトームの存在を知っていればうまく解決できていたのかもしれません。ミクロトームは主に生物系や化学系の分野で活躍する装置、物理出身の私はその存在さえ当時は知りませんでした。

 同社宣伝の変遷も展示されていましたが、そういえば昔は青少年向けのマンガ週刊誌にもシェーバーの宣伝が載っていましたね~。

 さて、2Fです。

 まずは、「切る」を題材にしたビデオを観ます。この手のビデオはさっさとスキップしてしまう私ですが、なかなか面白い仕上がりになっており、珍しく最後まで鑑賞しました。

 それから、世界各地の特徴的な刃物の展示です。

 石から始まる「切る」の歴史、それから医療分野における「切る」の展示があります。

 ここからが、私が特に気に入っている、切るに関する古今東西の珍品群の展示です。

切る、剃る、といえば、やはりこちらですね!
ヨーロッパの高貴な方向けの髭剃り師が使用した器。当時は和柄の陶器、いわゆるChina Boneが珍重されていたようです。

 おそらくアメリカのものでしょうか、床屋さんに関する風刺絵です。日本の床屋さんが収集していたものの寄贈を受けたそうです。永く後世に伝えたいものですね。

散髪しなくていい、シャンプーもトニックも要らない。ただ俺に話しかけてくれたらいいんだよ、トニー。
あんたのカミソリでひげ剃れないなんて、アタシはしらないよ!アタシがリノリウム(床材のことかな?)を切ってるときはよく切れたんだからさ。
えらい緊密ですね。何を意味するか、ちょっと分かりません。女店員がこの客に惚れているということでしょうか?

 往時に使用されていた、カミソリの品質を測定する機器類。品質のいい物を安定して作るためには、「いい」の定義 (規格書、仕様書)と「いい」を定量的に評価できる機器が不可欠です。手作り感の溢れてるこれら評価機器類、いい味出してますね~。

 昔のカミソリ製品群です。懐かしい味を醸し出しています。なんでもかんでもスピードが命になってしまった現代、髭剃りくらい、刃をセットして石鹸を泡立てて蒸しタオルを髭にあててと、儀式としてのんびりと楽しんでもよいのかもしれませんね。

 1Fに降りると、ミュージアムショップがあります。同社製品を、お値打ち価格で購入することができます。

 私は、以前訪れた時に購入したフェザー エフシステム サムライエッジが大のお気に入りです。切れ味とその持続性もさることながら (このコロナ禍のなか、1年以上替えてないかも・・)、刃の隙間に髭屑が溜まらない点がよいのです。それまではアメリカのメーカーのものを使用していましたが、刃と刃の隙間に髭屑が詰まってしまい、これが見た目も衛生面でもどうにも納得がいっていなかったのです。この製品は、刃に特殊コーティングを施すことでこの問題を解決したようです。コーティングの持続性も良好です!また、AmazonやMonoqloなどでもその品質に定評があるようです。自分の愛用しているものの評価が高いと、ちょっと嬉しくなりますね。



 フェザーミュージアムのあるフェザー安全剃刀株式会社の向かいには、関が生み出す刃物類を購入できる岐阜関刃物会館があります。以前はもう少し離れた場所で、古い役場のような建物で営業されていましたが、「せきてらす」としてモダンに生まれ変わりました!包丁やナイフばかりでなく、台所の小物類もたくさん販売されており、楽しいですよ!

 関といえば、もう一つの名物が鰻です。「グルメ」のコーナーで改めて紹介しますが、この日はフェザーミュージアムの隣に位置する孫六さんでいただきました。私はここは初めてでしたが、炭の香りを含む関西風の仕立てで、大満足でした。鰻好きの父親に聞くと、ここはお勧めの店の一つのようです。

今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!

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