フロントタイヤを交換しました。
私のBMW F10は前後でタイヤのサイズが異なり、フロントは245/40R19、リアは275/35R19です。つまり前後でのタイヤローテーションはできない、すなわち前後のタイヤの減りを均一化することはできないわけで、フロント2本とリア2本のタイヤの交換時期は同時にはなりません。ですので、フロント、あるいはリア、スリップサインの出た方のセットを交換するようにしています。
いよいよフロント2本にスリップサインが出てしまいましたが、対してリアはまだ3.0㎜以上も溝が残っており、今回はフロントだけを交換することにしました。
購入したのはこちら、ミシュラン パイロットスポーツ4sです。
これは市販車向けのタイヤとしては最上級に属するタイヤで、価格もなかなかのレベルです。前回も同じタイヤでしたが、このタイヤの高性能あっての安全だと考えていましたので、ランクを落とす気は毛頭ありませんでした。ちなみに、その前はミシュラン パイロットスーパースポーツでした。パイロットスーパースポーツは廃番となり、その発展的後継機種の位置付けがパイロットスポーツ4sです。4sはサーキット走行も可能な公道向けタイヤの位置付けで、スーパースポーツよりもウェット性能が向上していることが特徴です。確かに、土砂降りの雨の中で相応の高速走行を敢行しても、不安に感じたことはこれまでありませんでした。
クルマの走行性能を決める最大の要素をご存知でしょうか?エンジン?ブレーキ?それとも・・?
実は、クルマの走行性能の70%はタイヤで決まるそうです。エンジンの加速性能、ブレーキの制動性能がいくら優れていてもそれがタイヤの限界を超えるものであったとすれば何の意味もなさないわけで、タイヤの性能がクルマの限界を決めるというこの説には大いにうなずけます。ですので、標準タイヤとして装着されていたのよりも性能の劣るタイヤに履き替えることは、せっかくのクルマの性能を存分に発揮できなくなるということです。タイヤ代をケチったがために自身や他人の身を危険にさらすのでは全くの本末転倒、まさに安物買いの銭失いです。
かといって、高性能タイヤを履けばクルマの性能が向上するということではありません。
クルマの剛性やサスペンションの限界はクルマの設計に依存しますので、例えば旧い大衆車に現代の高性能ハイグリップタイヤを装着すればかえって危険なことになるでしょう。クルマの性能が限界に至ったときにタイヤが滑るからその限界を知ることができるわけで、クルマが限界を超えてヒーヒーいってるのになおもタイヤだけが粘ると、自分が危険な状態にいることを認識できないからです。ですので、クルマの限界設計に従ったレベルのタイヤ、すなわち新車時の標準タイヤを基準に、特性や性能がそこから大きく逸脱しないレベルのタイヤを選ぶべきだと、私は思います。
「特性」と書きましたが、スポーツ指向のタイヤを標準装着したクルマにコンフォート志向のタイヤに履き替える、などということは避けた方がよいということです。スポーツ指向とコンフォート志向のタイヤでは、同じ価格レベルのタイヤでもグリップの強度やコンパウンドの固さといった設計が異なります。標準タイヤはそのクルマのサスペンション等の設計とのバランスを精査して選択されたものですので、その思想を無視して全く特製の異なるタイヤに変更することはせっかくのクルマの性能を殺してしまうようなことだと思います。
例えば、コンフォート系のタイヤでは柔らかいコンパウンドを採用し、路面の凹凸などの入力を緩和することで乗り心地をよくします。しかし一方で、柔らかいコンパウンドはハンドルやブレーキ操作等による「ドライバーが意図した」入力までをも緩和してしまい、操作のレスポンスを悪くします。スポーツ系のタイヤでは固いコンパウンドを採用しドライバーが意図した入力をダイレクトに路面に伝える一方、路面の凹凸をタイヤで緩和することなくサスペンションに伝えてしまうので乗り心地はどうしても固くなります。
どちらのタイヤが優れているとかの問題ではなく、クルマの仕様、設計に合致したタイヤを選択することがクルマの性能を引き出した楽しいドライブ、ひいては安全に直結するものと私は考えています。
タイヤの交換は、いつもお世話になっているレンタルピットで自分で行いました。
自分でタイヤ交換しようとされる方はそんなに多くないでしょうから(笑)、ここでは流れだけをざっと紹介します。
その前に、交換前のタイヤのチェックです。
写真左がアウトサイド、右がインサイドです。左右で減り方が異なり、右、つまりインサイドの減りの方が激しいことがわかります。車高を落としたけれどトーの調整はそのままにしていましたので、その弊害が出ているのかもしれません。近日中にアライメント調整をすることにしましょう。
タイヤ交換は、まずはチェンジャー側面のプレスでビードを落としてからターンテーブルに乗せタイヤを外します。ゴムバルブの場合は本体そのものを、金属バルブの場合はゴムパッキンを必ず新品に交換しましょう。あとはタイヤを装着し、ビードを上げ、エア圧を調整します。
最後に、バランサーにかけて円周方向の重量バランスを調整します。
このバランス調整において、腰を抜かすほど感動したことをご紹介します。それは、タイヤを入れ替えたにもかかわらず、重量バランスの補正が一切必要なかったことです。つまり、このタイヤの製造技術がとてつもなく優れており、タイヤそのもののが真円で完璧な重量バランスを保っていたということです。
一般的なタイヤには、タイヤ表面に黄や赤色のマークがペイントされています。黄色は軽点マークと呼ばれ、そのタイヤの円周上で最も軽い位置を示します。通常はホイールの一番重い部分、つまりバルブの位置とこの軽点マークを合致させます。赤色はユニフォミティマークと呼ばれ、タイヤの外径の一番大きな位置を示すようです。
でも、ミシュランパイロットスーパースポーツにもパイロットスポーツ4sにもそのようなマークは存在しません。重量バランス、真円度ともに完璧なので、円周上で軽い位置も外径が大きな位置も存在しないからです。そのことが、タイヤを入れ替えてもバランス調整が不要であったという事実を物語っているのでしょう。
ミシュランの技術、恐るべし。
今回も私が選択した、ミシュランパイロットスポーツ4sの詳細はこちらをご参照ください。
注)
私はミシュランタイヤの社員、並びに利害関係者ではありません。ただの一ファンです(笑)。
今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!
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