ブレーキのメンテナンスは、安全確保のために欠かせません。
洗車のたびに必ずチェックし、必要なメンテナンスを確実に実施しましょう。
今回は、BMW R1250GSを例にとって、リアブレーキパッドの交換手順を紹介します。
単なるパッドの交換であれば、ブレーキキャリパー本体を外さずとも実施可能なのですが、これだと油やほこり、砂で汚れたブレーキピストンを洗わずしてキャリパー内に戻すことになります。
この場合、場合によってはキャリーパー内のシールを痛める可能性がありますので、私はパッド交換の際はキャリパー本体を外し、露出し汚れが溜まったピストンをしっかりと洗浄するようにしています。
R1250GSの場合、キャリパーを留める2本のネジを外す際にリアマッドガードと干渉しますので、まずはマッドガードを外します。
そして、キャリパーを留める2本のネジを外し、キャリパーを分離します。
キャリパー後方のピンに刺さったロックをラジオペンチで外し、ピンを抜きます。すると、パッドがパッドが外れます。
いや~、使いましたね~。
残り約1㎜、ワークショップマニュアルに記載された摩耗限度に達しています。
パッドを外したキャリパーがこちらです。
露出したピストンが、しっかりと汚れています。
摩耗したパッドを新品のそれに換えれば、パッドの厚みが増えるため、必然的にピストンはキャリパー内に入り込むことになります。
この時にシール類を痛める可能性のある汚れを押し込めたくないので、まずはピストンを含むキャリパー全体を洗浄しましょう。
今回、私はこれを使ってみました!
レトロなパッケージに釣られて買ってみたのですが、その効果はいかに?
少量を水に溶かし、ブラシでこすります。
おおお、期待以上に汚れが落ちていきます!
これはアタリな買い物でした!
洗浄後のピストン、キャリパーがこちら。
綺麗になっていますね!
では、ピストンをキャリパー内に戻し、組付けていくことにしましょう。
ここで注意点があります!
それは、リザーバタンクからフルードが溢れないように注意を払うことです。
タンクの蓋を開け、確認します。
これだけ隙間があれば、ピストンを完全にキャリパー内に戻してもフルードが溢れることはないでしょう。
ピストンを戻します。
ピストンツールという便利グッズもあるのですが、あまり出番のない工具を買うと道具箱がパンクしてしまいますから、私はいつもドライバーでてこの原理を利用して戻してしまいます。
リザーバタンク内のフルードレベルは上がっていますが、溢れるほどではありません。
続いて、キャリパー本体をベベルギヤにネジ留めします。
このネジには緩み止め処理が施されていましたので、締め付け前に少量のねじ止め剤を滴下しておきます。
メーカーが緩み止め処理をしているということは、指定トルクで締め付けてもそのネジは緩みやすいということですから、必ずネジ止め剤を使用することをおすすめします。
ネジ止め剤はいくつかの強度がラインアップされていますが、ほとんどの場合は改めてネジを緩めることがある部分ですので、中強度を一本用意しておきましょう。
ここの締め付けトルクは、34N・m。
締め付けトルクは指定値より大きくても小さくてもダメです。
大きければネジが塑性変形(伸びてしまう)しネジ本体の強度が落ちますし、小さければネジが緩み落ちる可能性が生じます。
トルクレンチを使用し、指定通りのトルクで締めましょう。
さあ、パッドを組付けましょう。
今回私がチョイスしたのは、デンマーク王国に本拠を置くSBS社のパッドです。
日本ではKITAKOが輸入代理店をしており、国内でも簡単に入手できます。
チョイスしたグレードは街EXで、R1250GSの適合製品は674HSです。
私はフロントでもこの製品を使用していますが、必要にして充分。ビックリするほど高価な純正パッドを購入する気にはなれません。
なお、R1250GSのフロントの適合品(街EX)は、960SPです。
パッドを入れる前に、鳴き止め処理をしましょう。
ブレーキの鳴きの原因については、こちらの記事を参照してください。
愛用の、Wako’sブレーキプロテクターを塗布します。
ブレーキプロテクターは通常メンテナンス時にはパッド側に塗布しますが、新品パッドの場合はキャリヤーやピストンとのアタリ跡がついていないので、どこに塗ればよいかわかりません。ですので、新品時はキャリヤーやピストンに直接塗布します。
その後、パッドを戻し、ピンを装着し、ロックを取り付けます。
なお、リアはフローティングキャリーパーですので、ピンには薄くグリスを塗布しました。
バイク整備におすすめのグリスは、こちらの記事で紹介しています。
続いて、フルードの液面調整をしましょう。
液面調整は、パッドがローターにあたっている状態で行います。
組付け直後はピストンがキャリパー内に完全に戻っている状態です。ですので、ブレーキペダルを数回操作し(ブレーキタッチが硬くなるまで)、パッドとローターがあたった状態にします。
操作前に比べて液面は下がりましたがまだ多すぎたため、オイラーで少量を抜き取りました。
ダイアフラムを戻し、キャップを装着し、完了です!
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