パラミタミュージアムは岡田文化財団の運営する博物館で、2003年に開館しました。
非常に変わった名前で知った当初はなかなか覚えられませんでしたが、由来を聞いて二度と忘れなくなりました。この美術館のメインコレクションは池田満寿夫氏の般若心経シリーズ、この心経に含まれる梵語の「波羅蜜多 (はらみた) = 迷いの多い現実世界の彼岸から、悟りの境地である涅槃の彼岸に至ること)」に因んでパラミタ(Paramita) と名付けられたそうです。
ここを訪れたのは2020年8月、訪れるまではその存在を知りませんでした。ここを知ったのは、ある図書館に掲示してあったこのポスター。
私は浮世絵が大好きなのですが (以後、似たようなフレーズをちょくちょくお目にかけるかもしれません。私はフランス印象派の絵が大好きなのです、など (^^))、こちらパラミタミュージアムで歌川国芳のマスターピースを集めた特別展示が開催されているようです。副題は、「躍動する構図と写実力」。わくわくしますね~。
歌川国芳は私が特に好きな浮世絵師の一人で、江戸後期に大活躍しました。ほかに好きな浮世絵師は、 (今のところ) 葛飾北斎、月岡芳年。この3人うち、国芳と北斎については様々な博物館でしばしば実物を鑑賞していますが、芳年についてはまだ実物を鑑賞したことがなく、今後の楽しみの一つです 。
(芳年の絵はアブノーマルとさえ感じられるものも多数、それ故、展示会で公開される機会がそれほど多くないのかもしれません。)
歌川国芳の作品を一手に集めた特別展示を鑑賞するのは、実は2回目です。
初回は、青森県弘前市の弘前市立博物館で開催された特別展示会 (2018.06.02-2018.07.16)で、この時の副題は「奇想の絵師 歌川国芳展」でした。
余談になりますが、博物館近所 (でもなかったかもしれません。弘前の街の風景を眺めながら、30分ほど歩いたかもしれません)で食べたこの店の鰻、とても旨かったです。途中で大将が鰻をさばき始めましたが、その手つきの鮮やかなこと鮮やかなこと。さばきは江戸裂き (関東型鰻包丁)で、蒸しで脂を落とした江戸前の鰻でした。目と口の両方で鰻を堪能しました。
この展示会で「相馬の古内裏」、「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」といった彼の代表作の数々に触れ、瞬時に魅了されてしまいました。歌川国芳は江戸時代末期に活躍した絵師、15歳で修業を始めますがかなりの遅咲きで、水滸伝の登場人物を武者絵として描いた「通俗水滸伝豪傑百八人乃一人」シリーズの大ヒットにより世に名声を広めたのは30歳を超えてからでした。自由奔放、大胆不敵、破天荒で型破りを特徴とした、一風変わった絵師として知られます。 葛飾北斎等とも交流があったようです。
さて、今回のパラミタミュージアムでの展示は、彼の作品を下記7章に分けた、総数152枚の大企画展でした。
第1章 武者絵の始まり・豪傑・合戦の図 (19枚)
第2章 ヒーローの妖怪退治・怨霊・幽霊 (36枚)
第3章 ダンディ 役者と伊達男 (9枚)
第4章 洒落とユーモア 義人パロディ (猫・狐・狸など) (13枚)
第5章 粋のファッション・鉄火肌の女たち (19枚)
第6章 洋風実験二十四孝・洋風表現の風景が (16枚)
第7章 歴史物語と忠臣蔵など (30枚)
はっきりとは憶えていませんが、展示の構成、また解説図の多くが、弘前市立博物館での展示によく似ているようでした。これは、ありがたい。一度に100数十枚の絵を見ても、記憶にはっきりと残るのは (私の場合)、まぁ、5枚程度でしょうか。はっきりと記憶に残らなくとも、後で同じ絵を観たときに「これ、以前観たことあるな」と想い返せる程度に記憶に残るのも5枚程度、残りは印象だけが脳裏に刻まれるもの、観た直後に忘却の彼方に飛ぶ (印象に残らない)もの・・・・。前回の弘前市立博物館で、今回のパラミタミュージアムで、同じような構成で複数回観ることにより、記憶にはっきりと、うっすらと残る枚数、印象として脳裏に刻まれる抽象的な「何か」が増えていくのだと考えています。
このミュージアムの名前の由来で触れましたメインコレクションの般若心経シリーズは、1F展示室の半分ほどを占める一大コレクションです。粘土による造形がゆったりとした空間に整然と展示されています。
また、三重県は萬古焼という焼物で有名ですが、江戸から現代に至る萬古焼の逸品1200点が入れ替わりで展示されます。
さらに、鈴鹿山脈原生の草木を配置した中庭がとても綺麗で、ゆったりと散策しリラックスしたひと時を過ごせました。
パラミタミュージアムの近隣には、 映画「男はつらいよ」第3話にも登場した 湯の山温泉があります。美術品を集中して鑑賞すると、非常に疲れます。ついさっき触れた美を湯の中で反芻しつつ、疲れをいやしてはいかがでしょうか。
パラミタミュージアムの基本情報
所在地: 三重県三重郡菰野町大羽根園松ヶ枝町21-6
開館時間・休館日: 09:30-17:30 ・ 年末年始休館
観覧料: 1000円 (大人)
URL: http://www.paramitamuseum.com
駐車場: 無料駐車場あり
見どころ: 般若心経シリーズ、萬古焼、折々の企画展
弘前市立博物館の基本情報
所在地: 青森県弘前市大字下白銀町1-6 弘前公園内
開館時間・休館日: 09:30-16:30 ・ 第3月曜日ほか
観覧料: 300円 (大人) (特別展開催時は、別途加算)
URL: http://www.city.hirosaki.aomori.jp/hakubutsukan/index.html
駐車場: 無料駐車場あり
見どころ: 弘前藩政を中心とした歴史・美術工芸品、津軽の風土・伝統に関連した展示品
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