この記事で、BMW F10のアキレス腱の一つに雨天時に左側ヘッドランプが曇るという問題があることをお伝えしました。曇るレベルならともかく、症状が進行するとヘッドライト内が濡れる、さらには水浸しになり交換が必要になることもあるようです。ヘッドライトはかなり高額で、ディーラーでの交換となると工賃込みで50万円程度の費用がかかるという報告を見たこともあります。
私のケースは雨天時にヘッドライトの内部の周囲の部分が薄く曇る程度でしたので、一旦はヘッドライト内にシリカゲルを入れ湿気を吸着させそれを取り出す、という暫定処置をしました。しかしながら、症状は改善したものの完治はせず、BMWから販売されているリペアパーツ (パーツナンバー 63 11 7 296 902)を入手し、根本対策を図ることにしました。
リペアパーツは、このような構成になっています。
ちなみに、説明書も入っておらず、TIS (Technical Information System)にもなんらの記載はありません。ただし、先人たちの残してくれた報告によれば、ヘッドライトにあるいくつかのダミー通気口 (通気口の体をしているものの、穴が開いていない)に穴をあけ、水の侵入を防ぐためにリペアパーツに含まれるゴム部品を装着すればよいようです。
いずれにしろヘッドライトを取り外す必要があり、またその前準備としてフロントバンパーを浮かせる必要があり、かなりのメンドウが予測されたため、このリペアパーツの存在は知ってはいたものの、見ないふりをしていました(苦笑)。
(実施することで走りが変わる!という内容であれば、どんなメンドウな作業でも喜んで実施します。でも、壊れる寸前、というわけでもなく、単に軽度のヘッドライトの曇りがなくなる程度のこととの引換に、バンパー外してライト外してドリルで穴をあけるというメンドウは引き合わないと思い、腰が上がりませんでした。
しかし梅雨入りで雨の機会は増えるし、夏場に発生する豪雨の中を走らねばならない時もあるだろうしで、ようやく重い腰を上げました。)
さて、作業です。
まずは、フロント左のタイヤを外し、ホイールアーチ部のカバー (前部)を外します。このカバーは外さずとも、カバーに装着されているサービスホールから作業はできるようですが、カバー全体を外すのも大した手間ではなく、外した方が作業性は上がると思いカバー全体を外しましたが、正解でした。
それから、バンパーとボディをつなぐネジと、バンパーとアンダーカバーをつなぐネジを外し、バンパーを手前にエイッと引っ張り、左側を浮かせます。
あとは、ライトにつながる2本のハーネスを外し、ライトを固定する4本のボルトを外せば、ヘッドライトを手前に引き抜くことができます。なお4本のボルトのうち2本はエンジンルーム側から、2本はホイールアーチ側からアクセスします。
外したヘッドライトを、裏から眺めます。
赤丸で囲った部分には、冒頭で紹介したリペアパーツに含まれるゴム部品が被せられています。これを外せば、ライトの内部/外部をつなぐ通気口がみえます。
一方、青丸で囲った部分にはゴム部品が被せられておらず、通気口はダミーで穴が開いていません。こうしたダミー通気口が3か所ありますので、ドリルで穴をあけ、リペアパーツに付属のスポンジ(埃よけ)を詰め、ゴムをかぶせます。なお、スポンジが足りませんでしたので、代わりにペーパータオルを丸めたものを詰めておきました。
ヘッドライトを裏側から眺めた写真を、もう一枚。
赤矢印は、ダミー通気口です。青矢印で示した楕円形のパーツは、ヘッドライトのコントロール基板のようです。侵入した水分で壊れる寸前の重症ヘッドライトの場合、この基板が濡れてサビていることもあるようですので、両サイドのネジを緩め、基板の状態を確認してみます。
よかった~!
水分が浸入した形跡はありませんでした。
あとは、元に組みなおして作業終了です。
全部で1時間半ほどの軽作業でした。それにしても、こんなに高額なパーツがたった4本のネジで留められているだけ、といのにはちょっと驚きました。
ちなみに、リペアパーツに含まれていた部品のうち、使用したのはゴム製のパーツ3つとスポンジ2つのみ。相当数のアルミネジやクリップが同梱されていましたが、これは「ダメになってたら交換してください」程度の意味だろうと解釈し、今回は使用しませんでした。プラスチック製のパーツについて、いろいろなところにあててみましたがしっくりとハマる場所はなく、これもお蔵入りとしました。
う~ん、もしもう一度施工するとすれば、こんな純正のリペアパーツなど買わず、ホームセンターで入手できる材料で代用しちゃうだろうなー・・・。
(ゴム製パーツ3つとスポンジ2つの価格としては、高すぎる・・・)
後日談・・・
対策パーツを装着後この持病は完治したかにみえたのですが、土砂降りの中を走行したあとに見てみれば再発していました・・・。
こうなれば、あとできることはといえばヘッドライト本体とレンズの隙間をコーキング材で埋めることしかありません。その内容は、以下の記事でご紹介しています。
今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!
* いいねボタンでのご評価をお願いいたします!
*よりよいページにするために、皆様からのコメント、アドバイス、リクエスト、ご質問等々を大歓迎いたします。ページ下部のコメント欄から、ぜひお寄せ願います!
コメント
レポート参考になりました。
底面の写真からすると、こちらのヘッドライトはイカリングのLEDをデイライト化する対策キットが取り付けられているのでしょうか?
コメント、ありがとうございます。
イカリングのデイライト化はコーディングで対処しており、新たなLEDの追加等はしておりません。
F10の場合、イカリングはプラスチックの導光路となっており、ヘッドライト外部に装着されたLEDからの光を導光路に導いているようです。
大変勉強になりました。
分かりやすく丁寧なレポートありがとうございました。
左ヘッドライトの曇りは他人事と思ってましたが、自分も先日洗車後に洗礼を。
レポートを参考にさせて頂きます。
ちなみに、その後、レンズの曇り状況はご支障ありませんか。
コーキングも必要という話も聞き、心配です。
Bun様
コメント、ありがとうございます。
対策パーツを装着後、レンズの曇りはありません。
コーキング部分から水が浸入する可能性があることは、ほかのレポートから私も把握しております。
私のクルマは現時点ではコーキング部分に支障はないようですが、もしかするといずれコーキング材の劣化等で水が浸入するようになるかもしれません。
そうなれば、改めて対策が必要になりますね。
対策パーツの取付自体は、難しい作業ではありません。
健闘を祈ります!