革靴のカビメンテの記事でも紹介しましたが、私は30年近く革靴を磨き続けています(笑)。
能力が同じでも重用される人/そうでない人に分かれる、同じことを言って受け入れられる人/そうでない人に分かれる。
こういったシチュエーションは、ビジネスの現場で皆さんもしょっちゅう目にすることだと思います。
この差に決定的な影響を与えているのは、ズバリ見た目です。
具体的には自信に溢れた表情や所作、そしてそれを強烈にバックアップするのがバリっとした着衣や小物類です。本当に自信があるかどうかなんて、実のところあまり関係のないことなのです。
(ただし、どう考えてもおかしなことを自信ありげに述べる、とかいうのは論外ですよ(苦笑)。それは詐欺の分野に必要な能力で、私は門外漢です)。
どうすれば圧倒的にモテることができるのか?、そのことに心血を注いでいた(苦笑)青二才の私が辿りついたのが心理学で、あらゆる書籍を漁るうち、その世界に入る前からビジネス界の一つの極意たる上記を知るに至ったのです(笑)。
「ボロは着てても心は錦」。
皆がボロを着るなか、それでも矜持を保ち凛と生きておられた方への賛辞の言葉だと思います。でも言葉は生き物、時代によって死んでいくものも新たに生まれるものもあるのです。
この言葉は、この時代のビジネスの世界では一切通用しないことをまず肝に銘ぜねばなりません。この世界でいくらかでも頭角を現わそうと望むのであれば、ビジネス書を手に取るよりも先に、テーラーで着衣一式を誂え、評判のセレクトショップで靴を含む小物を揃えることを私は勧めます。
次にすべきは、着衣、小物類の手入れの仕方を憶えること。ビジネス書を手に取ることなど、ずっとあとでよいのです(笑)。
余談ですが、私はビジネス書はほとんど読みません。アセスメント(昇格試験)の度に、渋々手に取る程度。アセスメントの採点者(≒コンサルなど、この手の書籍の執筆者)が試験の場で何を評価するかを知れたという意味で試験対策にはいくらか役に立ちましたが、これが現実のビジネスの場で活きるかと言われれば、私は首をかしげます。
話が大きく逸れました。そう、今日は革靴の手入れの話でした。
化粧の上に化粧を重ねれば肌がボロボロになってしまうのと同じ理屈で、靴も新たにクリームを塗布する際には前のクリームを落とさねばなりません。それにはいわゆる「汚れ落とし」の薬剤を用いるのですが、水性と乳化性の2種類があります。値段的には後者が圧倒的に安く、紆余曲折あって最後の学校を33歳で修了した私には(≒貧乏学生の期間が長かった私には)、汚れ落としといえば乳化性一択でした。
ただ、乳化性の汚れ落としに疑念があったのも事実です。
乳化というのは、本来は交じり合わない「水と油」を見かけ上混合させる技術の総称で、水を媒体として油の粒を分散させるタイプ(OW (Oil in Water)タイプ)と、その逆で油を媒体として水の粒を分散させるタイプ (WO (Water in Oil)タイプ)があれど、油を含むことに変わりはありません。靴クリームは油が主成分ですから、それを落とすのに油の入った「乳化性の汚れ落とし」を使っていれば、油の上に油を重ねる、つまり化粧の上に化粧を重ねるのと同じなのでは?という疑念はずっと頭の隅にありました。ただ、汚れはとりあえず落ちているようですし、疑念の通りに表皮がボロボロになってしまうような気配も見当たりませんでしたので、この30年間は安価な乳化性一本でやってきました。
でもね、やはり心の中では「水性の汚れ落とし」が気にはなっていたのです。
もう靴磨きの道具程度で悩むような経済状況でもなし、今回30年目にしてようやく水性の汚れ落としを使ってみました!
購入したのはこちら、名門 M. Mowbrayのステインリムーバーです。
パッケージサイズにより値段が大きく異なりますが、私はもちろん、単価としては最も安くなる、最大パッケージの500mlボトルを購入です(笑) (←貧乏性が、抜けない)。昔からの定番品で評価の高いこの製品、一度使っただけで「こりゃダメだ」と、ゴミ箱に直行する可能性はないでしょう。
ウエス (古くなったTシャツ)を指に巻き、ステインリムーバーでちょいと湿して靴の表皮をこすります。すると、ウエスに汚れが転写されます。汚れの落ち方は乳化性クリーナーとなんらの差もないように思います。ただ、汚れが落ちた後の革の状態が、乳化性クリーナーで汚れを除去したときに比べてかなりしっとりとしたように思います。気持ち程度の差かもしれませんが、いくらかでもよい印象を持てた以上、今後は水性クリーナーを常用することにしましょう。
汚れ除去が終わり、今度は乳化性の靴クリームを塗ろうとしたところ・・・・
じぇじぇじぇじぇ!!! (←古い(涙)・・・)
左足の左側面の一部の状態が異常に荒れていることに気付きました!
まず見た目に荒れていてその他の部分と明らかに光沢が異なりますし、触感としてもざらざらです。
なんでこうなってしまったのか、理由はわかりません。ただ一つ言えることは、これまで乳化性の汚れ落としで手入れしていては全く気付かなかった革の異常を、水性のそれに代えて初めて気付くことができたということです。このことからしても、今後水性の汚れ落としを使うことに意味があるように思いました。
藁にも縋る思いで、ステインリムーバーと同時に購入しておいた、同じく M. Mowbrayのサドルソープで部分的に荒れた部分の水洗いをしてみました。
翌日。変化なし・・・。
理由がわからないのが気持ち悪いですが、洗ったりクリームを塗ったりで完全補修できる類のものではないのでしょう・・・。
その後、乳化性クリーム→油性クリームの順で手入れを済ませました。
化粧によっていくらか目立たなくすることはできました、といった仕上がりですね~。
前回紹介したカビといい、今回の肌荒れといい、最近靴のメンテナンスをサボり気味だったのがこうした異常として現れてしまったのかな~。
質のいい革靴は、底を何度も張り替えて使い続けることのできる、いわば一生モノの製品です。これに懲りて、適切な頻度でちゃんと手入れをするようにしましょう。その様子は、別の機会に紹介します。
なお、こちらの記事で革靴に生えてしまったカビへの対処法をご紹介しましたが、今回ご紹介したステインリムーバーには防カビ効果もあるようです。今後はステインリムーバーでカビ防止をしつつ、万一生えてしまった場合はオキシドールで対処するようにしましょう。
今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!
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