花巻温泉郷にある大沢温泉は宮沢賢治が訪れた当時のままの佇まいを残す伝統ある湯宿で、訪れる者たちを今も魅了し続けています。
大沢温泉の発祥は1200年前に遡り、現在は湯治屋、菊水館、山水閣の3棟で構成されます。湯治屋は今から200年以上前に建てられた自炊棟、菊水館は160年前の茅葺別館、山水閣は近代和風旅館と、すべての棟で趣が大きく異なることが特徴です。そう、ここ大沢温泉はノスタルジックを好む人、整備された近代風を好む人、どんな好みの方々も受け入れる懐の広い温泉旅館なのです。
これら3棟の建屋敷地内に、合計で6ヵ所もの温泉・露天風呂があり、どの棟の宿泊者でもすべての湯を愉しむことができます。
(詳細は、こちらの公式ホームページをご覧ください)
私はといえば、・・・。このブログのほかの温泉記事をご覧いただいている方々にはすぐにお分かりかと思いますが、湯治屋がイチバンのお気に入りです。ここには5回訪れましたが、5回とも湯治屋に泊まりました。
こちらが、湯治屋の佇まい。威風堂々です。
湯治屋館内にはこんな雰囲気のよい売店がありますが、自炊を考えている方々はこの売店の品揃えに過度の期待をしてはなりません。せいぜい、軽いツマミや飲み物が買えるレベルと捉え、花巻市内のスーパーなどで調達するのがベターです。
大沢温泉のありがたいところは、こうした売店に加え、もやは居酒屋ともよべるレベルの食堂があることです。しかも、安くて旨い。食堂の名は、「やはぎ」です。私の一番のお勧めは、地元大沢地区でとれた蕎麦粉を100%使用した大沢・純そばです。値段(675円(税込み))からは想像もできない旨さ。しっかりと蕎麦湯も供されます。その他のメニューは、こちらをご参照ください。
狭く、曲がりくねった迷路のような廊下を進み、客室に向かいましょう。
昭和どころか、私の知らない大正、明治にまでタイムスリップしたかのようです。
こちらが、今晩の部屋です。
画面左手の襖を開ければすぐ、誰もが往き来する廊下となる純然な湯治宿スタイルです。貴重品はクルマにしまっておくか、預けるかした方がよいかもしれません。
なお、コタツやストーブは別料金のオプションとなります。
今はどうかわかりませんが、昭和以前の時代は布団やコタツ、ストーブ一式を持ち込み長逗留する湯治スタイルが一般的だったようで、必要なものだけをオプションで借りられるというのは、その当時の名残なのかもしれませんね。ご参考までに、メニューの一部を掲載します(2018年当時のものです)。
湯治宿につきものの炊事場、ガス自動販売機(昭和初期の製造??)を紹介します。それと、令和の時代ではもはや考え難い、タバコを思い切り奨励する看板を見つけたので、それも(デザインは秀逸だと思います、いや、懐かしいだけかな(笑))。
宿の窓や渡り廊下などからは、こんな美しい景色を楽しむことができます。
風呂について。
6つある風呂のうち一番人気でこの宿の象徴ともなっているのが、男女混浴露天風呂の大沢の湯です。どの時間に来ても、男女問わず誰かしら湯を愉しんでいます。これぞ、自然な湯治の姿。
あと、私は薬師の湯がお気に入りです。私はどちらかというと木組みやタイル張りといった人の手がかかった湯殿が好きで、ここの湯殿で唯一のタイル張りの薬師の湯の雰囲気に落ち着きます。
ここ大沢の湯では、毎年4月29日に、大沢神社に鎮座する男根の木造を洗い清める大沢温泉金精まつりが執り行われます。活躍するのはもちろん女の方で、縁結び、子宝、安産に効果があるとされています。湯の町、寺社の町には、未だこうした風習が残っているところも多いですね。コロナで一時的に休止している場合もあるでしょうが、是非とも復活してほしい風習です。
ここ大沢温泉湯治屋には、朝にほっこりするような風習があります。宿の方が行商人となり、独特の言い回し、リズムでヨーグルトやパン、果物などを販売して回るのです。こんな経験は初めてでしたが、湯治風習が華やかりしころは当たり前の朝の風景だったのかもしれませんね。昭和は遠くになりにけり。
大沢温泉自炊部は、こちらから空室検索、予約が可能です。
山水閣にご興味がある方は、こちらから。
(菊水館は、現在ギャラリーとして活用されているようです。)
最後に。
花巻地方の冬場は特に冷え込みます。道路などツルッツルになっていますので、十分なスノードライブ装備をして安全運転でお越しください。
今回は、ここまで。
次の機会にお会いしましょう!
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